外はとても気持ちよく晴れていて、今日も通勤するひとたちの車が行きかう。
エアコンのきいた部屋から、いつものように車の音を感じる。
僕は今日も一人過ごす。
僕が外界との関わりをたって、どれくらいたつだろう。
親も別に僕が外に出ないことをなんも気にしている様子もない。
むしろ、家の中にいて事たりてるならいいじゃない、ていうくらいのお気楽ささえうかがえる。
僕の日常は、朝ゆっくり起床しなにをするともなく、パソコンを立ち上げることから始まる。
僕は、別に外界との関わりをたったからといって、完全なる引きこもりニートってわけでもないのさ。
ちょっとだけ得意だった文章力を生かして、ブログを書いている。
そこには、自分の好きな世界を拡げた物語が詰まっている。
はじめこそは、僕の物語なんて誰も読んでくれなかった。
それでも、書くことは好きだったから、毎日のように自分の空想の世界を綴っていった。
そしたら、少しずつ読んでくれる人が増えた。
おかげで、僕はこれを「仕事」と呼べるくらいに自信をつけることができたんだ。
ぼくの仕事は、【空想家】だ。
小説ともまた言えず、僕の空想を拡げた世界だ。
だから僕は唯一無二の【空想家】なんだ。
僕は、この春に高校を卒業するまえから、このブログを書き始めていた。
就職も進学も、やりたいことがないまま決め切れずにいた。
そんな僕は、母さんに言ったんだ。
「自分のやりたいことをみつけて、みつけることができたら頑張りたい。だから、今は僕を信じて待っててくれませんか」
母さんは、ふっとほほえんで言った。
「あんたの人生だし、あんたの人生の責任を取るのはあんただから。人として恥ずかしくない生活をしてくれるなら、それでいいよ」
すんなり、僕の意思を受け入れてくれたことにすごく感謝したんだ。
それから僕は、同級生が就職面接や進学に向けて受験している中、ブログを立ち上げて、毎日空想の世界を書き続けた。
毎日投稿はもちろんのこと、時には日に2つも3つも投稿した。
そして、始めたころの僕のブログに読者はいなかったのが、高校卒業する頃にはもう300人に届く勢いになってたんだ。
僕は、ブログの、空想を書き起こすことのやりがいを感じて、毎日楽しかった。
僕の書いたものを楽しみにしてくれる誰かがいる。
読んで、コメントをくれる。
毎日、たくさんの人が読んでくれてる。
高校卒業した、最初の夏。
僕は、母さんに言ってみたんだ。
「母さん。実は僕、高校卒業する少し前から、空想の世界をブログに書いていたんだ。そしたら、最初はゼロだった読者が、少しずつ増えていって今ではたくさんの人が読んでくれるようになったんだ。
ブログを応援してくれる読者さんのおかげで、ブログから収入も入るようになってきた。
今、僕はすごく楽しいと感じてる。
なんとなく生活していた高校の頃と違って、今では毎日が楽しくてしょうがないんだ。
だから、母さん。。。僕、これからも家にいてこれを仕事として生きていみたいんだ。」
僕は、一生懸命自分の気持ちをありのままに伝えた。
そしたら、母さんが、
「いいんじゃない?母さんも毎日楽しく読ませてもらってるし」
て。そう言ったんだ。
僕の、ブログを読んでくれてたんだ。
恥ずかしさと、嬉しさと、なんだかよくわからない感情が一気に押し寄せてきて、みるみる顔が熱くなった。
僕の、職業としての【空想家】が始まった。
僕の空想はたくさんある。
まず、だれもが憧れるだろう。
あの大きな怪物?のお腹で寝てみたいということさ。
そう、トトロだ。
あんなに大きなポヨンポヨンとしたお腹で、毛もモフっとふわっとしているところで。
大きな木の根元で、時々木漏れ日を閉じた目から感じ、心地よい風が吹く。
そんな完璧なお昼寝環境の中で、あの大きなモフモフのお腹で寝れるとしたら。
これは、最高という以外になんだというのだろうか。
僕は時々、うちのデブ猫のお腹に顔をうずめるんだ。
猫様はツンデレの生き物であるからして、「はい、どうぞ」と言わんばかりにお腹を差し出してくれることもあれば、猫パンチをくらわしてくることもある。
猫のお腹に顔をうずめることでさえこんなにたまらなく気持ちがいいんだ。
トトロのあのお腹だったらその何百倍も気持ちがいいはずだよな。
だって、猫のお腹には顔しかうずめることができないっていうのに、トトロのお腹なんて僕の体全部が乗っかることができるんだ。
いや、できるんだ、て。
乗ったことないけど。。
僕の空想の原点は、人見知りと対人関係の希薄さだ。
僕は、友達と過ごす時間より、一人で夢の世界にトリップすることが元々好きだった。
教室の窓から外を眺めては、
(あの葉っぱが落ちたら、僕のあの願いは叶う)とか、ただ歩いてる猫を見ては、
(あの猫は今から集会に行くんだな。今日の議題は、最近餌を与える人間がめっきり減って事、ていうやつに違いないな)とか。
そんなくだらないことを考えるのが大好きであり、癖だった。
小学生の頃から、作文だけはすらすら書けた。
国語の他のテストはさっぱりなのに、作文だけはお題が与えられるとすぐに自分の世界に入り込んだ。
僕は、書くことも空想も大好きなんだ。
今まで、自分の中だけで空想をとどめていたけど。
これからは、発信ができるんだ。
きっと一人くらいは見てくれるだろう。
僕の空想の世界を見て、どんな風に感じてくれるんだろう。
不安と期待と。
僕は、これからも空想は辞めることができない。
僕の生き方だから。
今日は、トトロのお腹で眠る夢を見ながら、眠りたい。